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「Mama,・・・I love you.」から辿り着く場所。

  • 執筆者の写真: Maiko
    Maiko
  • 2023年12月12日
  • 読了時間: 3分



6歳になるMayaは、私たち三姉妹が幼い頃よく遊んでいた浜で、ひとり悶々としていた。浜に打ち上げられた流木を手にして、砂をほじくり、砂を集めて、砂山を作り破壊してを繰り返す。




1990年代。私たち三姉妹は、この場所で遊び育った。小さなカニを獲ったり、貝掘りをしたり、砂浜に大きな家の間取りを描いて、壮大なスケールのママゴトをしたり、水浴びに勤しんだり、忙しくも楽しく、時間が経つのを忘れて過ごした日々があった。



2023年8月。Mayaは今、同じ場所で、整理できない言語化不可能な複雑な心と対峙して過ごしていた。


日中のじりじりとする暑さがやっと過ぎ去った夕暮れ、それでもやはり蒸し暑い。Mayaは自分の行いに報い、やらなければならないとされている事とできない自分と葛藤の渦に飲み込まれているようだった。





従姉妹とのいざこざ。年の近い幼い彼女たちは、毎日毎日、好きと嫌い、怒りと喜び、を繰り返し、泣いて笑って日々を一緒に送っていた。



常にドラマチックで、感傷的になり易く、すぐ忘れる。自分がいつも主人公で、みんなで仲良くできる瞬間もあれば、仲間外れにされたり、したり。誰かを傷つけたり、傷つけられたり、発達途中の彼女たちは、感情のジェットコースターを乗りこなせず、もがいていた。




そして、時に自分の檻にがんじがらめになって閉じ籠る。トリガーは、日常の些細な事。この日のトリガーは「磁石のお絵かきボード」だった。Mayaは、9歳になるMomoちゃんとバツの悪い時間を共有していた。


「磁石のお絵かきボード」で絵を思う存分書きたい気持ちでいっぱいな、お絵書き遊びが大好きな二人がいて、「磁石のお絵かきボード」は一つしかない。


順番で使っていた「磁石のお絵かきボード」。いつしかMayaが独占するようになっていた。周りからの白い目と、大人たちからの助言、何より順番で使うというMomoちゃんとの約束を果たせず、自分の書きたい気持ちに従うMaya。


わかっちゃいるけど、止められない止まらない。カッパえびせん症候群に陥っていた。


じっと待つMomoちゃん。罪悪感に包まれながらも描き続けるMaya。静観する外野と空気。




「Momo、外に遊びに行くよ!!」辛気臭い空気を一掃するように、姉が声をかける。颯爽とMomoと姉は外に、遊びに行った。他の従姉妹たちも後に続く。


それからしばらく、絵を描き続け、納得のいく自分の作品を仕上げたMaya。外へと、ぽとぽと出ていく。浜へと続く道。


砂浜で、思い思い自由に遊ぶ、6歳になるMayaは、ひとり悶々としていた。浜に打ち上げられた流木を手にして、砂をほじくり、砂を集めて、砂山を作り破壊してを繰り返す。




「Mama・・・,Mama, I love you,mama」浜辺から帰りながら、Mayaが呟く。



「Love you,too」と返る言葉。



「Mama・・・,I love you.」から、心の安全基地へ辿り着く。


「Love you,too」。



自己嫌悪に苛まれる瞬間、とても不安定で、そわそわと心地悪い状態に感情のコンディションが訪れる。



「Love you,too」。は、心を落ち着け、自分を受け入れる余白を作る。



自分を信じる勇気の翼をMayaは手に入れる。



がんじがらめのエゴの渦から解き放たれ、心が軽く自由になっていく。



Smiycle


 
 
 

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