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水をやる小人たち。

  • 執筆者の写真: Maiko
    Maiko
  • 2022年6月12日
  • 読了時間: 2分


冬の厳しい軽井沢。氷点下10度を超える、凍てつくような日々を過ごしていた2月のある日。ジャスミンが私の家にやって来た。


強い香りを放つ魅惑のジャスミン。白や黄色のラッパ型の小さな花を咲かせる、モクセイ科の植物である。開花時期は、3~5月、7~11月と幅広く、品種によって異なり、我が家のジャスミンは、黄梅(オウバイ)という品種。3~4月に開花する。花言葉は、優雅・上品。私とはかけ離れているが悪しからず。




うちのジャスミンちゃんも、3月がすぐそこまでやって来た寒さが少し和らいだ頃、たくさんの可愛らしい花を咲かせ、私をハッピーにしてくれた。


ジャスミンはどんどんどんどん、ツルを伸ばし、新葉をつけ四方八方に育っていく。このままではいけないと、脱皮をさせ、新しい鉢に植え替え、大きめのアーチを施した。




夏も近づいてきた頃、自然の風にさらしておいた方が良いというアドバイスをもらい、箱入り娘のジャスミンちゃんをついにお外に出す決意に至る。軽井沢の冬の冷気はジャスミンには堪えるので、家の中で大事に冬を越させていたのだ。




玄関先に、ちょこんとジャスミンの鉢を置く。バイトに出かける時、スーパーへ行く時、遊びに行く時、私が帰ってくる時、都度都度、ジャスミンちゃんの様子を観察する日々。ある時は、黒い毛玉が枝についており、払い落とすと、ノソノソと毛虫が動き出し、驚いた夜もあった。


そんなたわいも無い私とジャスミンちゃんの平和な日々が続いた時、私は不思議な現象に気づいた。ジャスミンちゃんに水やりをしている見知らぬ何者かの存在だ。


タイトルから大概、ネタバレしているのだが、私が水やりをしようと鉢を覗くと、既に何者かがジャスミンちゃんに水をあげているのだ。


私の住んでいるアパートは2棟1対になっており、1LDKの部屋と2LDKのメゾネットタイプの部屋がくっついている。2LDKの方にはファミリーが住んでおり、小さな子どもがたくさんいるのだ。私の隣の家も小さな男の子が2人、元気に暮らしているのが伺える。


アパートに暮らす小人たちが水やりに勤しんでいると私は思っている。なぜなら、ジャスミンちゃんの鉢の近くでコソコソと遊んでいる姿を目撃したことがあるからだ。


ニュージーランドに住む、姪っ子、MAYAも、イヤイヤ期マックスのジャイアンみたいな暴君になっていた頃でも、水やりをせっせと健気にしていたことがある。




時折、小人たちには、「そこに花があるから水をあげる」的な、博愛の精神が宿ると私は思っている。


とにもかくにも、ありがとうを伝えたい。


Smiycle

 
 
 

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